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シクサーズvsバックス ヤニスに立ちはだかるエンビード! ゲームレビュー

オゼリア

今回はシクサーズvsバックスのゲームレビュー。
エンビードとヤニスのMVP候補が激突するオールスター前のビッグマッチをポイントとともに振り返っていく。

はじめに

この試合で注目したポイントについて。

シクサーズのヤニス対策とバックスの攻略。

特にシクサーズが誰をヤニスにつけるのか、
そしてヤニスのペイントアタックをどう阻止するのか、
興味深い工夫が見られた。

両チームのポジショニングによる駆け引き

試合開始。

まず、ヤニスの1対1についてポジショニングで両チームの工夫が見られた。

1Q 11:18 MILオフェンス
ヤニスvsニアン

まずマッチアップを確認。
ヤニスをマークしているのはニアン。
ニアン1人でヤニスを守らせるのは不安だが、PHIもちろんニアンをチームでサポートしていく。

その要はエンビードである。

PHIのディフェンスコンセプトは、ヤニスにはニアンをつけてその背後に常にエンビードを待機させておくこと。

この場面でも左コーナーにいるポーティスをマークするエンビードがペイントエリアでヤニスを待ち構えている。

このディフェンスコンセプトをMILがいきなり攻略していく。

ヤニスがドライブ開始。
ニアンはできるかぎりのディフェンスをしつつ、エンビードがリムプロテクトの準備をしている。

これに対してMIL。

ミドルトンが左ウイングから左ローポストにかけて移動。
ポーティスが左コーナーでスポットアップ。

ヤニスがキックアウト。

PHIはエンビードがポーティスを捨ててヤニスのヘルプに出ているため、ハリスがクローズアウトしないといけない状況。

ここでMIL、
ミドルトンがハリスにスクリーンをかけることでクローズアウトさせない。

見事ワイドオープンでパスを受けたポーティスがコーナースリーを成功。

リング周りでヤニスを待ち構えるエンビードに対してポーティスが3ポイントラインでスポットアップすることで、ヤニスとポーティスのどちらかを諦めさせる。
さらにスクリーンをかけることでPHIのローテーションでの対応を阻止。

MILはPHIのディフェンスコンセプトに刺さる幸先の良いオフェンスを完成させた。

1Q 9:40 MILオフェンス
ヤニスvsニアン

今度はサイドで1対1を仕掛けるヤニス。

先程同様、PHIはエンビードがポーティスを捨ててヤニスのヘルプ準備。

ポーティスも先程同様コーナーにポジショニング。

サイドでの1対1でもエンビードに対してヤニスかポーティスかを選択させるポジショニング。

ヤニスがニアンの上からフェイダウェイを沈める。

ヤニスとニアンのサイズの差はこういうところで表れる。
エンビードがリングを守っていてもそこに行かずしてヤニスが得点できると元も子もない。

まあPHIとしてはヤニスがこのフェイダウェイを何本決められるんだという感じでニアンにマークさせているのだろう。

1Q 7:55 MILオフェンス
ヤニスvsハリス

ハリスとの勝負。

この場面の注目もポーティスのポジショニング。
ここでは左ローポストにポジショニング。

先ほどまではポーティスがコーナーにいたことでヤニスかポーティスかの2択をエンビードに強いることができていたが、
この場面はどうだろう。

エンビードがローポストからヤニスのヘルプに出る。

エンビードの位置を見ながらヤニスはフェイダウェイ。

このショットは失敗。

しかしポーティスがオフェンスリバウンド獲得。

そのままポーティスがセカンドチャンス得点。

エンビードがヤニスのヘルプに出たことでマークマンのポーティスへのボックスアウトが不十分になり、ポーティスはオフェンスリバウンドを獲得できた。

ローポストでもポーティスのポジショニングは効果的であることが分かる場面だった。

試合冒頭の3つのプレーについて解説したところで、この駆け引きにおいて最も重要なことをここで確認しておく。

1対1するヤニスとヘルプポジションを取るエンビードのポジショニングの駆け引き

ヤニスがニアンに対して1対1で優位に立つのは当然として、その上でヘルプのエンビードを乗り越えることができるかである。

その際にエンビードがマークするポーティスのポジショニングも重要なポイントとなることは解説した3つのプレーからも分かるはず。

雑になるMIL

試合冒頭はヘルプポジションで待ち構えるエンビードとポジショニングの駆け引きをしながら良い1対1を実行できていたヤニス。

しかし、だんだんとその駆け引きが雑になっていく。

2Q 4:40 MILオフェンス
ヤニスvsニアン

1Q9:40と似たような状況での1対1。

エンビードがマークするイバカは左ウイングにポジショニング。

確認したようにこの場面ではヤニスがニアンとの1対1に勝てるのは当然として、その先で待ち構えるエンビードを攻略できるかがポイント。

この段階でのエンビードはかなりヤニス寄りのポジショニングを取っているため、ヤニスがエンビードに対してまず行うべき駆け引きはイバカへのパスを警戒させること。

イバカへのパスをエンビードに意識させることでヘルプが甘くなり、ペイントアタックをしやすくなる。

ではこの場面のヤニスはどうだったのか。

いきなり1対1を仕掛けてしまう。

イバカを意識させる作業が行われなかったため、エンビードは自信を持ってヘルプに出る。

あっという間にヤニスはトリプルチームに近い状況へ追い込まれた。

強引にレイアップに持ち込むも、エンビードのリムプロテクトに阻まれてショット失敗。

ヤニスを擁護するとしたら、あえてイバカを警戒させずにドライブすることでエンビードをさらに自分へ引きつけ、よりオープンになったイバカにキックアウトしようとしたのかもしれない。

ヤニスはそのつもりプレーを開始したものの、イバカがスポットアップではなくカットで合わせてきたため、パスを出せなくなってしまったという可能性は考えられる。

新加入のイバカとの連携面の問題と解釈することもできるが、ヘルプポジションのエンビードとの駆け引きで上回れなかったことに変わりはない場面だった。

このようなプレーなどがあり、2Q後半はヤニスの1対1から得点が生まれにくくなっていた。

そこでMILはヤニスの1対1について少し考え方を変えてきた。

エース対決の実現とMILのビッグ3

変更後のヤニスの1対1の考え方はこうである。

ヘルプポジションのエンビードが厄介だったらエンビードとの1対1にしちゃえばいい!

これまではヤニスvsニアン+ヘルプポジションのエンビードという構図での駆け引きだったが、
ヤニスvsエンビードの構図にすることでヘルプディフェンスをこれまでのように気にしなくてよくなるという感じ。

2Q 3:15 MILオフェンス
ヤニスvsエンビード

ヤニス/イバカのPnRでヤニスvsエンビードのマッチアップを作る。

距離を取って守るエンビードに対してヤニスは思いきってプルアップスリーを放つ。

が、ショットは失敗。

狙いを変えての1対1であったが、あっさりエンビードが勝利。

MILはエンビードがヘルプポジションにいる脅威を消すことはできたものの、それはつまりエンビードとの1対1にヤニスが勝利しないといけないということである。

どちらの方がMILにとって良いかは分からない。
ただ1つ言えることはヤニス頑張れということだろう。

ということで

チームの期待を背負って直後のポゼッションでもエンビードとの勝負に挑むヤニスであったが、
またしてもエンビードのディフェンスを乗り越えることはできなかった。

エンビードのディフェンス能力の高さが大いに光っている。

ヤニスの1対1がうまくいかなくなったMIL。

オフェンスの効率が低下してじりじりとPHIに点差をつけられそうな試合展開。

ただ、ここで終わらないのがMILの強いところ。
ヤニスが止められてもホリデー、ミドルトンがいる。
ヤニスvsエンビードが失敗したところで、オフェンスの軸をホリデーとミドルトンに移した。
期待通りホリデーとミドルトン中心に得点を重ねたことでこの苦しい場面もなんとか乗り切った。

PHIのマキシーが爆発する中、前半を8点ビハインドに抑えてハーフタイムへ。
これぞビッグ3というバトンパスだった。

修正を徹底できないMIL

課題を残してハーフタイムを迎えたMIL。
後半開始して早速、修正を見せる。

3Q 9:05 MILオフェンス
ヤニスvsニアン

試合冒頭の時のように、ポーティスをコーナーに配置するポジショニング。

その上でヤニスはエンビードのポジショニングをしっかり確認できている。

ミドル側からヘルプに出てくるエンビードに対してベースライン側からアタックするヤニス。

エンビードに干渉されることなくレイアップに持ち込むことに成功。

一度はショットが外れるも自らプットバック。

1Q成功していたことを改めてしっかり行うことで良い1対1を作ることができた。

MILとしては、この成功体験を大切にしたいと感じるポゼッションとなった。

しかし長くは続かないのがこの試合のMIL。

3Q 5:25 MILオフェンス
ヤニスvsニアン

エンビードがペイントエリア内でヤニスを待ち構えていて、イバカが右ウイングにポジショニングしている。

2Q4:40と同じような状況である。
その時の反省を踏まえてMILがやるべきことは、

①イバカへのパスをエンビードに意識させてからヤニスの1対1
②ヤニスがエンビードをさらに引きつけてスポットアップするイバカにキックアウト

のどちらかである。

しかし実際は、
ヤニスはエンビードと駆け引きせずにドライブし、イバカはスポットアップではなくカットで合わせた。

結局ヤニスは右コーナーのヌウォラにキックアウト。
短いクローズアウトに対してのカウンタードライブ時にヌウォラがラインクロスでターンオーバー。

2Qと全く同じ状況で全く同じ失敗をしてしまった。

3Q序盤の修正は偶然だったのかと思ってしまうようなポゼッション。

こういうポゼッションがあると思ったように点差は縮まらない。

PHIもディフェンスのやり方を変えなくて済んでいる。

以降は再びホリデーを中心にオフェンスを構築。
なんとか点差を維持して3Qを終える。

ヤニスの覚醒

ヤニスの1対1については1Qから戦術的駆け引きに大きな進展がないまま4Q開始。

ここで、戦術的な苦しさをヤニスが個人技で打開していく。

4Q 8:25 MILオフェンス
ヤニスvsニアン

エンビードがペイントエリアでヤニスを待ち構える。

このエンビードのヘルプディフェンスに苦しんできたMILとヤニス。

ここでヤニスが突破口を発見する。

ニアンを押し込み、そのままフックショット。

見事ショット成功。

ドライブしてエンビードのヘルプディフェンスと勝負せずとも、ニアンとの体格差を活かしてその場で決着をつけることで難しかった状況を打開した。

このプレーをきっかけにヤニスがチートモードに突入。

約5分ほどで12得点を記録してMILを牽引。

接戦のままクラッチタイムへ。

クラッチタイムの明暗

ヤニスとエンビード、両チームのエースがともに30得点以上を記録して勝負は残り3分。
ここでこの試合の総括のようなポゼッションが2つ訪れる。

4Q 3:02 MILオフェンス
ヤニスvsハリス

1対1を狙うヤニスをエンビードがペイントエリアで待ち受ける。

この試合何度も見た状況。

覚醒しているヤニスは思いきりドライブすることしか頭にないくらいアタックモード。
覚醒しているとはいえ、ヘルプポジションのエンビードをなんとかしないとこれまで見てきたように得点の確率は薄まってしまう。

ドライブをきっちり2人で対応するPHI。

ショットに持ち込めないヤニスはキックアウトを選択。

ヤニスが完全に2人のディフェンスを引きつけた割にはオープンになれなかったミドルトン。

3ポイントは失敗。

やはりヘルプポジションで待つエンビードの意識を別のところに向ける作業がないと良いショットを打つことはできない。

4Q 2:02 MILオフェンス
ヤニスvsエンビード

ヘルプポジションのエンビードが厄介ならば、エンビードと直接対決だ!
2Qはうまくいかなかったが、覚醒している今のヤニスであればエンビードを倒してくれるはず!

そんな期待を背負ってのエース対決。

かなりの激アツ展開。

ヤニスのドライブ。
エンビードがしっかりコースに入って守る。
ヤニスはエンビードを突破できずキックアウトするも、そのパスがターンオーバー。

エース対決はまたしてもエンビードに軍配。

ヘルプポジションでのエンビードとオンボールディフェンスでのエンビード。
クラッチタイムにその両方で勝負が行われた。
その結果、PHIディフェンスが2回とも上回ることとなった。
この試合の全てとも言える2つのポゼッションで完全に両チームの明暗が分かれた。

結局この試合はこのままPHIが接戦をものにした。

試合総括

ヤニスの1対1をPHIがエンビードをヘルプポジションに配置して守るところから始まった駆け引き。

MILはヘルプポジションのエンビードを何度か攻略できた場面があったものの、それを1試合通して徹底できなかった。
また、ヤニスvsエンビードに持ち込むやり方も試したがエンビードのディフェンスに勝てなかった。

これだけヤニスを苦しめるディフェンスをしながら42得点の大活躍でチームを勝利に導いたエンビード。

エンビードはMVPに相応しい選手の1人だなと改めて感じさせられる、そんな試合でした。

今回のゲームレビューは以上です。
また次回のゲームレビューもぜひ。

それでは。

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