はじめに
今回はキャバリアーズvsホークスのゲームレビューをしていく。
この試合を簡単に振り返ると、
ツインタワーで強力なディフェンスを発揮するCLEと
ストレッチ4の活用でその攻略を図るATL。
こういう対戦だった。
この点において具体的にどういった戦術的駆け引きが繰り広げられたのか、
3つの要点にまとめて解説していく。
ここからは試合のネタバレを含みます
駆け引きその1:ガリナリのポジショニング
まず見られた駆け引きはATLのストレッチ4、
ガリナリのポジショニングによるツインタワー攻略。
2Q11:25のATLオフェンス。
ルー/オコングのPnR。
画像の通り、ラブ/モブリーのツインタワーを形成しているCLE。
この時点ではラブが3ポイントラインまで引き出されているものの、
モブリーはリングに近い位置で待ち構えることができている。
ツインタワーの魅力はこういった、
1人がリングから遠ざけられても、もう1人がリングを守ることができる点にある。
PnRが進行し、ルーがドライブ。
この時のガリナリのポジショニングに注目。
先ほどは左コーナーにいたガリナリが、
左ウイングへと位置を1列上げている。
このポジションチェンジによりガリナリとリングの距離が長くなるため、
モブリーはリムプロテクトとガリナリへのマークの両立ができなくなる。
したがってルーのドライブとガリナリの3ポイントの両方を守ることは不可能。
結局この場面は、
ルーがドライブからフローターを成功させた。
次は2Q10:28のATLオフェンス。
ボグダノビッチ/オコングのPnR。
オコングがボグダノビッチに右方向へスクリーンをセットしている。
ここでもガリナリのポジショニングに注目してほしい。
ガリナリは右ウイング、
つまりボグダノビッチがスクリーンを使ってドライブしていく右サイドにいる。
この場面でもCLEとしては
ラブがPnRの対応、モブリーがリムプロテクトをしたいところ。
しかしそれは難しい。
PnRが開始。
先ほど確認したようにガリナリはドライブ側のサイドにいる。
そのためここからモブリーがリムプロテクトしようとすれば、
オープンになるガリナリへとボグダノビッチに簡単にパスを出されてしまう。
かといってこのまま何もしなければ、
リムプロテクターとしての役割をモブリーは果たせない。
またしてもガリナリの巧妙なポジショニングにより、
モブリーは究極の2択を迫られた。
この場面はリムプロテクトを諦めたことでオコングがアリウープダンクを成功。
ATLのビッグプレーとなった。
モブリーをリングから遠ざけることで
常にリムプロテクターがリング近くで待ち構えている状況を作らせないプレーであったが、
このポジショニングを成功させるためにはATLにとってガリナリの存在は不可欠だった。
ガリナリの3ポイントが怖いからこそモブリーはガリナリを捨てることができない。
ガリナリを捨てることができないからリングを空けざるをえない。
ガリナリが優秀なストレッチ4であるからこそ成立するプレーである。
駆け引きその2:ダブルスクリーン
ガリナリのポジショニングの工夫に続いて
ATLはダブルスクリーンでのツインタワー攻略を実行。
まず2Q3:40のATLオフェンス。
モブリーにマークされるガリナリを1枚目スクリーナーにしてのダブルスクリーン。
ヤングに対してガリナリとカペラが連なってスクリーンをセット。
これによりCLEはモブリーとアレンの2人ともが3ポイントラインへと釣り出された。
ヤングがドライブ。
ATLはガリナリがポップし、カペラはダイブ。
ここでもモブリーに注目。
この状況からリムプロテクトに回ればガリナリがオープンに、
かといってガリナリをケアすればペイントエリアが空く。
またしても究極の2択を迫られた。
この後モブリーはリムプロテクトを優先する。
その結果、案の定ガリナリへとパスを回され3ポイントを決められてしまう。
2Q1:18のATLオフェンス。
先ほどと同じダブルスクリーン。
全く同じ究極の2択を迫られるモブリー。
先ほどガリナリに3ポイントを決められたため、
今度はガリナリのケアを優先。
となればペイントエリアがガラ空きになる。
ヤングが冷静にカペラへパスを出し、ダンク成功。
ガリナリの3ポイントラインでの引力により、
ツインタワーがディフェンスで全く脅威を発揮できていないCLE。
駆け引きその3:CLEの3-2ゾーン
なんとかしてツインタワーのどちらかをリング周りに常駐させたいCLE。
2Q終盤から3-2ゾーンを組んできた。
3Q8:50のATLオフェンス。
3-2ゾーンで守るCLE。
この配置に注目したい。
機動力とサイズのあるモブリーを前衛に配置して3ポイントラインで迫力を出しつつ、
リムプロテクターのアレンを後衛に配置してリング周りに常駐させている。
ATLが何をしようがアレンが必ずリングの近くで待ち構えることができるため、
ATLの前半のようなオフェンスにも対応できるディフェンスシステムとなった。
この3-2ゾーンにATLは大苦戦。
この場面も
ボグダノビッチのドライブにガリナリがカットで合わせてレイアップを試みるも、
アレンが見事にブロック。
CLEのツインタワーがようやくディフェンスで本領を発揮した。
3-2ゾーンを駆使してここから優勢に立つかと思われたCLE。
しかしそうはいかなかった。
選手交代により3-2ゾーンを維持できなくなったのである。
先ほどの3-2ゾーンはモブリー/アレンのツインタワーだからからこそできたディフェンス。
ラブ/アレンやラブ/モブリーの組み合わせになると、
機動力、リムプロテクト力の両方に不安があるラブに
モブリーの位置もアレンの位置も任せることができない。
よってマンツーマンに戻さざるをえないのである。
ラブ投入によりマンツーマンへ戻ったCLEディフェンス。
これに対してATLがやるべきことは明確。
ラブを狙え。
3Q5:57のATLオフェンス。
ラブにマークされるハンターをスクリーナーにしてのPnR。
ハンターがヤングにスクリーンをセット。
ラブはヤングのスピードに対応できないためスイッチできない。
また、リムプロテクトもできないためドロップもできない。
そうなるとラブに残された選択肢は画像の通りショウ1択である。
ラブがショウしてくることは想定済みのATL。
ゴーストスクリーンで抜け出したハンターへヤングがパス。
パスを受けたハンターは思いきりドライブ。
リング周りにアレンが待ち構えているものの、
これだけオープンでパスを受けてドライブしてくるハンターの勢いを止めることはできない。
あっさりとハンターがレイアップを沈める。
ATLはこのようにラブを狙って得点効率を維持。
駆け引きに大きな動きはないまま
気づけば4Q後半。
ようやくモブリー/アレンのツインタワーが復活。
このツインタワーが復活したということは、
3Qに成功した3-2ゾーンを再び発動することができるということ。
4Q3:15のATLオフェンス。
CLEは3-2ゾーン。
やはりこの3-2ゾーンは効果的らしく、
ハンターにタフショットを打たせて見事ディフェンス成功。
4Q2:40のATLオフェンス。
CLEは再び3-2ゾーン。
ネイルのスペースにカペラが飛び込む。
そこへヤングがノールックパス。
パスを受けたカペラには当然リムプロテクターのアレンが出てくる。
ただ、そのアレンがカペラの対応に出た瞬間、左サイドで2対1が発生。
カペラがコーナーのハーターへキックアウト。
ハーターがコーナースリーを沈めた。
ATLがこの試合で初めてまともに3-2ゾーンを攻略できたプレーだった。
この3ポイントでATLがリードを9点に広げ、
そのまま逃げ切り試合終了。
試合総括
ATLがストレッチ4のガリナリを試合序盤から非常に効果的に活用。
これにより、CLEが誇るツインタワーにディフェンスでほとんど仕事をさせなかった。
後半にCLEは3-2ゾーンで対策を講じるも選手交代の都合上、長くは維持できず。
終始ATLオフェンスが駆け引きの主導権を握っていたと感じる内容だった。
スタッツを確認すると、
ガリナリはシーズンハイの25得点。
ヤングも41得点の大活躍。
CLEはリーグ最小の1試合平均102.5失点を記録しているチームだが、
この試合は124失点。
ATLが素晴らしいオフェンスを見せたことが数字でもよく分かる結果となった。
今回のゲームレビューは以上です。
ぜひ次回も見にきてください。
あざした。