日本 70 - 88 フランス
前半は互角に渡り合うも、後半で力の差を見せつけられた日本。
ただ、ホーキンソンの合流という良いニュースもあった。
この試合、日本はフランスのPnRをどのように守ろうとしたのか。
その結果として守れたのか、守れなかったのか。
ある程度我慢できた試合展開を作れていた前半に、その伏線は存在していた。
ということで前半の各プレーを振り返りながら考察していく。
前回のニュージーランド戦のレビューはこちら!
フランス戦の日本のディフェンスの背景が分かります!
Showを巡る、フランスと日本の攻防
1Q
1Q 7:45 FRA
Get Action (vs Show) - Angle Change (TOV)
フォーニエがShowにびっくりして慌ててAngle ChangeしたらTOVになった場面。
正直井上のShowはブロッキングに見えた。
前回のNZL戦でもそうだったが、HandlerをShowで捕まえられるか、がShowする上で争点。
1Q 4:47 FRA
High PnR (vs Show) - Reject
Fight Overの意識を逆手に取るRejectからエンドワン。
こうなるならFight OverじゃなくてChaseじゃダメなんだろうか、と思う。
また、NZLと同様にフランスも、Sprint ScreenでShowの強度を低く抑える工夫を入れてきている。
この工夫は、「ShowでHandlerを捕まえる」という争点において日本を苦しめる。
1Q 2:52 FRA
Zipper - Short Step-Up (vs Show) - Roll Feed
フランスが多用したセットを発動。
x5の川真田はShowするもHandlerを捕まえきれずに引き際を失った結果、必要以上にHandlerを深追いしてしまう。
そうすれば、気づいた時にはゴベアはDiveしており、Returnが間に合わない状況。
また、Short PnRであったため、x4によるゴベアへのStuntにも限界があった。
日本の弱点とフランスの巧みな配置が組み合わさり、ゴベアのワイドオープンが生まれた。
少し川真田のShowの話。
川真田はShowの際に、はじめはHandlerの進行方向に対して垂直なスタンスを作るものの、すぐに体を開いてしまう癖がある。
そのため、Handlerの進行方向に対して並行なスタンスとなり、プレッシャーをかけているる割にHandlerを止められない状況になる。
その結果、上記の場面のように引き際を失ってしまうことがある。
1Q 2:22 FRA
High PnR (vs Show) - Skip
x2が2をルーズに守るから5のスクリーンセット位置が2から遠くなる。
それによってx5と2の距離が長くなり、Showが届かない。
2は悠々と状況を見てスキップパス。
ワイドオープンのコーナースリーは外れるも、ゴベアのプットバック。
Handler's DとScreener's Dの両方のプレッシャーを感じることで、Handlerはリズムを崩す。
この場面はHandler's Dのプレッシャーが欠けていた。
1Q 1:45 FRA
Zipper - Step-Up (vs Show) - Angle Change (TOV)
この場面も川真田はShowの際に体を開いてHandlerを深追いする形を作ってしまう。
しかしフォーニエのテンパりに助けられる。
Showが思ったように成功しないのは、Screener's Dの機動力によるものが大きい。
そんな1Qとなっている。
1Q 1:19 FRA
Zipper - Short Step-Up (vs Show) - Angle Change - Post
Handler’s Dのx2がハードプレッシャー。
プレッシャーとx5のShowに押され、2はリング方向に進路を取れない。
この瞬間、このポゼッションのイニシアチブは日本に。
Showで捕まえやすい状況をhandler’s Dが作り出したGood D。
これまでの失敗要因が取り除かれて、良いディフェンスになった。
2Q
2Q 9:30 FRA
High PnR (vs Drop)
ホーキンソンがScreener’s Dだと、CoverageがDropになる。
Wingのx4(井上)がTagでホーキンソンをサポート。
ホーキンソンのDropがどこまで通用するのかはまだ未知数。
2Q 5:38 FRA
Stack Ram (vs Drop) - Push Screen - Pull Up
ここでもCoverageはDrop。
Handler's DがRejectのフェイクに反応してOverは難しくなったため、x3はUnderを選択。
ただ、そこでPush Screenをかましてくるフランスのしたたかさ。
x3は大回りを余儀なくされ、ワイドオープンのプルアップを許す。
やはり無理せずChaseでいいのでは。
2Q 5:00 FRA
High PnR (vs Show) - Roll Feed - Kick
Roll Feedからのごたごたでワイドオープンスリー失敗。
TO明け、日本はCoverageをホーキンソンもShowにした。
フランスは4がWingのアライメントであったため、Angle Changeすればよりイージーだった。
2Q 4:05 FRA
Zipper - Return (Step-Up decoy) - Empty PnR (vs Ice) - Flip Screen - Kick
日本がIceしたため、Flip Screenのスペースを作れるようCorner FilledからEmpty PnRに変更。
Kickからの3ptは失敗。
ここでは川真田はDrop。
選手によってCoverageを変える指示がタイムアウトであったのか?
2Q 3:15 FRA
Spain PnR (vs Show) - Roll Feed
x5の川真田がやはりShowでシャットアウトできないため、引き際が曖昧になる。
Handlerを深追いしてしまっているため、いざReturnするとなってもゴベアは追いつかないところまでDiveしている状態。
Tagに誰も参加できず、イージーバスケット。
このポゼッションはフランスの上手さも大きかった。
x2のTagは2がPopすることで防いでいたし、x4のTagも4をOne Pass Awayに配置することで防いでいた。
2Q 1:26 FRA
Spain PnR (vs Show) - Reject - Pull Up
定期的にRejectにやられてしまう。
やはり正対スタンスでFight Over狙いより、ChaseスタンスでRejectケアを確定させる方がリスクが小さくて良いように思える。
総括
「フランスのPnRを守れた!」とは言えないが、
「フランスのPnRにボコされた!」というわけでもないのがこの試合の日本の収穫に感じる。
Showは、Screener’s Dが依然Handlerを捕まえきれていないのが目立つ。
また、アライメントで4番がTagしにくい状況を作られると、質の高い相手を守る術はないように思えてしまう。
ただ、1Q 1:19のようにHandler’s Dの頑張りでShowを簡単にするという方向性は、1つの活路になるのかもしれない。
Dropは安全牌なオプション、という印象。
他のCoverageでは見られる、Dropする明確なデメリットというのが現時点では発現していない。
W杯本戦もなんだかんだDropで我慢する守り方になるのかもなという感じ。
復帰すれば渡邊雄太は日本のアンソニーデイビスだし。
とりあえず次のスロベニア戦で、川真田井上のDropをもっと見たい。
Showの微調整にこだわる分、ホーキンソンも含めてDropのテストがまだスモールサンプル。
今回のフランス戦で分かったこと
日本はガチガチに研究されない限りは、フランスのような強豪国であろうとDefを鮮やかに崩されまくるわけではない、
という手応えは間違いなくあったと思う。
今回は生命線の3ptが富永富樫以外は振るわなかったため、そこでじわじわと得点ペースに差がついた感じの負け方。
3ptの純粋な精度に伸びしろが残っている負け方であるため、その点ではこの負けも割とポジティブに思える。
ということで、色々とうまくいけば本戦3試合のうちどれかは勝てるんじゃないか、と思える試合内容だった。
次戦のスロベニア戦のGame Reviewはこちら!
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