Game1では勝利したものの、今回のGame2ではNZLの攻撃に圧倒された日本。
NZLが見出した日本の守備の弱点は何か。そしてその弱点を徹底的に狙う、NZL式日本攻略法はどのようなものだったか。
日本の守備とNZLの攻撃を、Game1とGame2の違いに着目しながら振り返っていく。
前回のニュージーランド戦Game1のレビューはこちら!
日本の守備の弱点:ビッグマンの機動力
アンダーサイズなガードも日本の弱点になり得るが、NZLは2試合を通してビッグマンの機動力を徹底的に狙ってきた。
その結果起きたGame1での日本のディフェンスの変化と、NZLのオフェンスについてここから軽くまとめる。
NZL戦 Game1の日本は序盤、PnRをSwitchで守っていた。
しかし、日本のビッグマンがNZLのガードのスピードに対応できない場面が目立った。
そのため、Game1で日本は前半のうちにPnRのCoverageを変更。
このShowは、日本が弱点を補うための暫定的な答えだった。
そのため、以降の強化試合でも多く用いられることとなった。
日本の守備戦略:Show Coverage
Showで守ることで、NZLガードvs日本ビッグマンの1on1を発生させないようにできる、という考え。
詳しくはGame1のレビューを見ていただきたい。
ただ、NZLはこの日本のShowを見事に攻略した。それがNZLの大きな勝因となった。
ということでGame2のNZLの戦術を見ていきたいところだが、それを理解するためにも、まずはGame1のNZLの戦術を振り返る。
NZLの日本攻略法(Game1)
- Angle Change
- Beating Show
主にこの2種類だった。
順に説明する。
1. Angle Change
High PnRの際、Wingに4番プレイヤーを配置することで、WingからのTagの逆を突くプレーを構造的に発生させていた。
2. Beating Show
機動力に劣る日本ビッグマンでは、ShowでHandlerを食い止めることも難しかった。
Showが甘くなる瞬間を見逃さずにドライブするNZLの技術が光った。
Showを突破する、というシンプルな方法だが日本は非常に苦しめられた。
このように、Game1では2種類の攻略法を見せてきたNZL。
そこをGame2ではパターンをBeating Showに絞り、その上で攻略法をさらにブラッシュアップしてきた。
そりゃ日本はなかなか止められないわけさ。
ということでここから、Game2でのNZLの戦術を掘り下げていく。
NZLの日本攻略法(Game2)
説明したようにGame1では2つあった攻略法のうち、
Beating Show
を強調するプランを立ててきた。
そして、NZLはこのBeating Showを安定して成功させ続けるために、Sprint ScreenとPush Screenを巧みに活用した。
どのようなプレーだったか、具体的に解説していく。
1Q 9:17 NZL
High PnR (Sprint Screen) - Kick (Angle Change decoy)
5がx5を振り切ってスクリーンをセットするSprint Screen。
これによりx5のShowが甘くなり、1が簡単にBeating Showを成功させる。
NZLは日本の弱点をより確実に狙えるような工夫を用意してきた。
1Q 0:47 NZL
High PnR (Sprint Screen) - Kick - Extra
この場面も同様に、Sprint ScreenからBeating Show。
日本Defとしては、x5のShowが突破されるのは仕方ないにしても、x3がRotationの際にExtraへのパスコースを切れなかったのはよろしくない。
WingのDefでのミスは極力減らしたい。
1Q 1:15 NZL
High PnR (Sprint Screen) - Fade
x5のShowをSprint Screenで解決しつつ、Handler’s Dであるx1のUnderをFadeで攻略した。
2Q以降はこの場面のように、Sprint Screenに加えて、Underでスクリーン回避するHandler’s Dを攻略する工夫も入れるようになっていく。
その工夫が、以降で見られたPush Screenだった。
2Q 7:55 NZL
High PnR (Sprint + Push Screen) - 1on1
Push Screenとは、Handler’s DのUnderの瞬間にScreenerがRollすることで大回りなUnderを強制するスクリーンのこと。
この場面では、5のPush Screenでx1に大回りさせたことで、オフェンス有利な1on1を演出。
x1の準備が整わないうちにHandlerがドライブを仕掛けて成功させた。
2Q 6:28 NZL
Corner Filled PnR (Sprint + Push Screen) - 1on1
同様にPush Screenから大きなズレを作り、1on1でカウントワンスロー獲得。
一見、2連続で富樫がやられたように感じるが、Push Screenによって構造的に厳しい状況を作られているため、Defが富樫でも誰でも正直きつい場面。
NZLの戦術の方が明らかに上手だった一幕。
2Q 0:25 NZL
High PnR (Sprint + Push Screen) - Pull Up
2Q最後もNZLはPush ScreenでUnderを攻略。
ワイドオープンでプルアップスリーを決める。
この場面のx2はDefに定評のある須田であったが、その須田でもPush Screenの前ではさすがに何もできない。
個人の能力ではなく構造の問題。NZLが上手いっていう話。
このように、日本のShowをSprint ScreenとPush Screenで前半のうちに完全に攻略したNZL。
このNZLに対してShowはもう効果がないと判断した日本は、後半からPnR CoverageをSwitchに戻す。
ただ、そもそもなぜGame2でShowをやっていたのか、ここで思い出したい。
それはSwitchが成立しないからだった。
にもかかわらず、ShowをやめてそのSwitchに戻すという決断に日本は踏みきった。
もはや日本がその決断をするしかなかったという事実に、Game2におけるNZLの戦略的優位性を強く感じざるを得ない。
総括
日本のビッグたちがSwitchではスピードに対応できない、ShowでもHandlerを食い止められない。
となると残る選択肢はDropか、SwitchからDoubleとか。
あとはZoneとかになる。
日本にとってベストな守り方は一体どの方法なのだろうか?
そんな日本の課題を突きつけられた、NZLとの2試合だった。
でもその前に、渡邊雄太が加わることで現時点の課題がどれだけ解消されるのかを見極める必要がある。
だから、本戦への答えが出るのはまだ先の話。
という感じで、これから強敵との強化試合に日本代表は臨んでいく。
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