はじめに
今回はシクサーズvsウルブズのゲームレビューをやっていく。
この試合の注目はなんといってもシクサーズデビューのハーデン。
新たな相棒エンビードとどんな連携を見せてくれるのだろうか。
この試合ではもちろんハーデンに焦点を当てて解説していく。
特にエンビードとのPnRはMINのディフェンスの工夫と併せて印象的であったため、ここの駆け引きを主に見ていく。
ハーデンとしてもエンビードとしてもお互いに過去最強のPnRパートナーであることは間違いない最強コンビの破壊力はいかに。
新たな役割に出会うエンビード
まずは1Q 11:13のPHIオフェンス
ハーデン/エンビードのPnR
エンビードのスクリーンを使うハーデン。
MINはショウで対応。
これはハーデンのPnR対策として多くのチームが選ぶ対応である。
ショウはハーデンを一時的に2人がかりで止める守り方であるため、当然スクリーナーがフリーになりやすい。
しかしハンドラーがショウされるPnRなどこれまでPHIではほとんど経験してこなかったエンビード。
ハーデンからサイブルにパスが通るこのタイミングでエルボーあたりにショートロールしていれば確実にフリーになれる状況だが、エンビードはいつものようにポップしている。
これではせっかくハーデンが2人を引きつけたチャンスを活かすことができない。
サイブルに「ダイブしろ」と指示されてようやくダイブしたエンビード。
しかし1テンポ遅れてのダイブであるため、MINはヘルプディフェンスの準備を整えることができていた。
この場面はタフなレイアップを強いられてショットは失敗。
2Q 8:05 PHIオフェンス
ハーデン/エンビードPnR
先ほど同様、MINはショウで対応。
今度はショートロールできるか、エンビード。
できた。
そしてハーデンから完璧なバウンドパス。
あとは右サイドでのアウトナンバー(3vs2)を攻略するだけ!
であったが
このチャンスでパスをもらうことに不慣れなエンビード。
判断に迷いが生まれチャンスを広げることはできず、マキシーのジャンパーは失敗。
ハーデンのPnRパートナーになる選手の必須能力は、ショートロールとその後のアウトナンバー攻略での判断力である。
HOU/BKN時代のジェフグリーンや、BKN時代のブルースブラウンなどはそれが抜群に上手かった。
PHIでパートナーとなるエンビードにもこれらが求められるが、解説した2つのポゼッションではまだうまくいかなかった。
はじめはうまくいかなかったエンビードだが、この後すぐに適応していく。
2Q 2:48 PHIオフェンス
ハーデン/エンビードのPnR
同じようにMINはショウでの対応。
理想より若干深いものの、きっちりショートロールするエンビード。
そして当たり前のようにダブルチームに対処してエンビードにパスを出すハーデン。
今度は迷いなく自らのフィニッシュを選択。
見事バスケットカウントを獲得した。
ここでついにショートロールとその後の判断力の課題をクリアしたエンビード。
MINはショウでの対応を続けるのだろうか。
ハーデンとエンビードの連携にPHIが手応えを得たところで前半終了。
MINの試行錯誤とスーパーなハーデン
後半、MINは様々な工夫でハーデンとエンビードの対策を講じてくる。
3Q 11:05 PHIオフェンス
ハーデン/エンビードのDHO
サイブルのダウンスクリーンを経て、ハーデンがエンビードとハンドオフ。
前半は一貫してショウで対応していたMINであったが、ここではドロップ。
タウンズがドロップしつつ、ラッセルがサイブルのマークを捨ててエンビードをケア。
ハーデンとエンビードを3人がかりで止めようとしてきた。
しかしハーデンは冷静。
ラッセルにケアされているものの、高さではエンビードが圧倒しているためふわりとしたパスを供給。
パスを無事キャッチしたエンビードはイージーバスケット。
ドロップ+3人目のディフェンスでMINは対策を図ったがハーデンとエンビードの前では通用せず。
MINはこの後、2-3ゾーンと3-2ゾーンでタウンズをペイントエリア内に常駐させつつハーデンに他の選手でプレッシャーをかけ続けるという対策を試したがそれも目立った成果は得られず。
特にゾーンを組むためには自らのオフェンスを成功させないといけないのだが、それができていなかったためそもそもゾーンを発動できないまま時間が過ぎていった感じ。
今回は特に解説しないが、PHIはハリスやニアンにタウンズをマークさせてエンビードがリムプロテクトに専念する守り方が非常に効いていた。
このディフェンスコンセプトについては以前の記事で詳しく解説しているため、興味のある方はそちらでぜひ。
MINがああでもないこうでもないとやっているうちに点差はぐんぐん開いていき、4Qへ。
4Q 8:42 PHIオフェンス
ハーデン/エンビードのPnR
ショウも攻略されたしドロップも攻略されたMIN。
この場面ではタウンズが少しやり方を工夫してショウする。
解説した2Qの2つのポゼッションでは、ハーデンからショートロールしたエンビードにパスを通されたことでピンチを招いた。
ならばそのエンビードへのパスを防げばショウでも対応できるのでは?
ということでエンビードへのパスコースを潰すようにショウしたタウンズ。
しかしハーデンはやはり冷静。
エンビードへのパスコースが潰された、ということは左ウイングのハリスへのパスコースができるはず。
なんのパニックも起こさずにハリスへのパスを選択。
慣れてきたエンビードも完璧な位置にショートロール。
これで左サイドで完全な3vs2が発生。
最終的にグリーンにパスが渡り、ワイドオープンのコーナースリーを沈めた。
ハーデンの引力と判断力がPHIにかつてない選択肢を与えている。
すさまじいハーデンパワー。
4Q 6:33 PHIオフェンス
ハーデン/エンビードのPnR
タウンズはこの場面もハーデンに対してショウで対応する。
と見せかけてドロップ。
ショウと思わせてエンビードへのパスを誘発しつつすぐさま自分で対応しようというアイデアだろう。
タウンズの試行錯誤は頑張っているなあと感じる。
しかしやはりハーデン。
そのような小細工に惑わされて安易にパスを出すことなどしない。
一旦はボールキープして、きっちりタウンズを引きつけたタイミングでエンビードへパス。
オープンでパスを受けたエンビードはジャンパーをヒット。
タウンズが色々と対応を変えてなんとか出し抜こうとしているがそれらを全て上回ってくるハーデン。
最高のボールハンドラーすぎる。
4Q 5:08 PHIオフェンス
ハーデン/エンビードのPnR
あらゆる手を尽くすも全てハーデンに乗り越えられたMIN。
ここで最後の選択肢を発動する。
最後の選択肢はスイッチ。
もうこうなったら1対1で勝負だ!と言わんばかりのタウンズ。
やってやるよと勝負に乗るハーデン。
結果は超絶ステップバックスリーを炸裂させたハーデンの勝利。
この3ポイントがとどめの一撃となり、PHIが見事完勝を収めた。
試合総括
ハーデンのシクサーズデビューに注目が集まったこの一戦。
エンビードという新たな相棒とともにその絶大なインパクトをこれでもかと見せつける試合内容となった。
ハーデンとエンビードのPnRについて。
エンビードは2Qの途中までは新たな役割をうまく遂行できなかったが、それ以降は見事に順応した。
ハーデン効果でエンビードのイージーショットの本数は飛躍的に増えることはやはり間違いなさそう。
そのハーデンは持ち前の引力と判断力で様々な工夫をしてくるMINの一歩先を行くプレーを常に見せてくれた。
分かっていたことではあるが、ハーデンが加入して強くならないわけがない。
そう感じさせられる上々のハーデンデビュー戦でした。
今回のゲームレビューは以上です。
また次回もぜひ。
それではまた。